母が育てていた沢山の花。とても可愛い紫色の花が咲いた。でも名前がわからない。

コロナが落ち着いたらまた会おうね

また一緒に旅行しようね

今年のお正月はみんなで料理が作れたら良いね


そう言ったきり、また今度の「今度」がやって来ることは、2度となかった。


なんでこんなことになっちゃったんだろう。


今、世界中でそんな悲しみに包まれている人は、きっととてもたくさんいるだろう。


でもこれまでどこか他人事だった。

とても大切な人を何の前触れもなく、ある日突然失うことが、こんなにも辛く悲しいなんて思ってもいなかった。

なんで今だったんだろう。

もっと一緒に行きたい所があったし、聞いて欲しい話しも山ほどあった。

それより何より、どうしてあの日ありがとうが言えなかったんだろう。どうしてあの日ごめんねが言えなかったんだろう。

また会えると思ったから。

最後に会った日も、ろくに顔も見ずに帰ってしまった。

どんな時だっていつでも優しかった。どんな時だっていつでも全力で応援してくれた。

それなのに心配ばかりさせて、どうしようもない娘だった。

どうして誰にも何も言わずに逝ってしまったんだろう。

握り締めた母の手は、もう冷たかった。お母さんって呼んでも返事はなかった。

あんなに元気だったのに、夢じゃないかと思った。

「あんたに乗り越えられん試練はやって来んよ」
いつも母はそう言って励ましてくれた。だけどこの悲しみをどうやって乗り越えたらいいんだろ。

いろんな事が次々と思い出された。そうしてふと思い出した。

いつも私のバカ話しを楽しみにしてくれていた母。

「天真爛漫で、底抜けに明るいあんたがいてくれて良かったと思うことが何度もあったよ。辛い時もあんたの存在が支えやった」
そう言ってくれたことがあった。

もう一度めちゃめちゃ笑わせてあげたかった。最後に会った日、母は私の涙しか見ていない。

言えなかった「ごめんね」と「ありがとう」にかえて、めちゃめちゃ明るく生きて行きたい。
底抜けに明るい人でいたい。

人間は死ぬ以上、どんな人との関わりにもいつか終わりがやって来る。その関わりに後悔は少ない方が良い。

忙しくても何があっても、伝えたいことはすぐに伝えた方が良い。

これからはそうしよう。

コロナ禍にあっても、形をかえてできることはたくさんあった。