わかむすめ 月草

 

先日フランス、パリで開催された日本酒コンクール「KURA MASTER」。

このお酒を初出品し、純米酒部門で金賞を受賞しましたキラキラ

プラチナ、プレジデント賞を目指して、今後も精進致します。

 

杜氏がひとりでも造り続けることを決意したH19年、息子が生まれた年。

四季醸造蔵へと改装し、素人同然での酒造りをスタートさせた。

 

当然のことながらひとりでの酒造りなんて無理があった。

すぐに経営は行き詰った。

 

看護師として働いて、ずっと支え続けて8年。

ようやく酒造りが軌道に乗って、都内でも勝負できそうな酒質に仕上がって来た。

看護師を辞めて、蔵へ入る決意をした。

 

蔵人として、経営者として、自分に何ができるか。

何をすべきか。

照らす光のない道を歩み、もがき続けた。

 

一年後、ようやく一寸の光を見つけたような気がしたそんな矢先。

改装してわずか10年の、仕込み蔵の梁が折れた。

長年の雨漏りで木が腐ってしまったのだ。

倒壊の恐れがあり、これ以上、ここでの酒造りは無理だと宣告された。

 

移設か、廃業か。

 

乗り越えても、乗り越えても、押し寄せて来る波に、

ひたすら立ち向かうだけの人生に迷いが生じた。

 

逃げることにだって意味がある。

逃げたっていいんじゃないか。

 

もう、頑張れるレベルを超えた危機ではないか。

 

考えても、考えても、答えが出ない。

 

この10年を、無かったことになんてできない。

ゴミ箱に捨てる紙くずのようにはできない。

悶々とした時間が過ぎて行った。

 

それでも、これまでどんな時も、子供たちだけは前向きだった。

いつも私たちを応援してくれた。

不甲斐ない親の下で、良い子に育ってくれた。

それだけが心の灯だった。

 

この受賞を、一番喜んでくれたのは子供たちだった。

 

努力しても、報われないことの多い世の中でも、

努力し続けることの尊さを、深く感じてくれた。

 

泣き言も、愚痴も言わず、淡々として心には情熱の灯を絶やさず、

いつもいつも酒造りと向き合って来た杜氏。

「ひたむきさ」や「愚直」と言う言葉は、この人のためにあるような言葉だ。

 

金賞?一番良い賞じゃないんでしょ?

フランス行けないじゃん。

 

と言い放った私ではありますが、「ありがとう」という言葉を送りたいと思います。

 

プラチナ、プレジデント賞目指して頑張るぞ!!